売り上げ減少は原発事故が原因
口頭弁論で再度主張

7月2日、千葉地方裁判所にて第五回口頭弁論が開かれました。
今回は、今まで主張してきた損害の状況を細かく、各部門別にして準備書面を作成しました。
また、加瀬理事長、岩崎専務理事、組合員2名、そして生産者2名を証人として出廷する証拠調申出書も提出しました。
法廷では、安藤弁護士が今回提出した第8準備書面要旨の陳述を行い、次回の口頭弁論期日と次々回の口頭弁論期日を確定させました。
口頭弁論後の報告集会では、福島県から駆けつけてくれたふくしま東和有機農研の本多さん、弁護士の村井先生、舩澤先生より福島県の現状について報告がありました。
   
犠牲者では終わらない、終わりたくない
ふくしま東和有機農研 本多さん 
「福島のお米ですが、福島県は全てのお米を袋の上から検査を実施しています。現在まで約1030万袋検査してきました。その中で99.78%が25ベクレル未満だったと結果が出ています。福島県はこの検査を3年間続けると言っています。
普通は籾摺りを行ってから袋に詰め、まっすぐ出荷先に持って行けば良いのですが、今はいったん放射能検査場で検査してから出荷先に持って行くという形です。
福島県では野菜もすべて検査して直売所等で販売しています。
なのはな生協の裁判を何回か傍聴していますが、やっぱり福島県に住んでいる人間としては思うことがあります。未だに15万人が北海道から沖縄に避難しています。私たちは覚悟しています。決して犠牲者では終わらない。犠牲者では終わりたくないんだと。私の人生はこの戦いを続けていく、東電の責任を追及してどれだけの事件を起こしたのかをはっきりさせたい。裁判長から和解の話がありましたが、相手の出方次第では私は和解する必要はないんじゃないかと思います。これからも強い意志で一緒に取り組んでいきたいと思います」

現地の方の声も届けていきたい
なのはな生協弁護団 村井弁護士
「今回ふくしま東和さんを訪問させていただき生産者6名の方から話を聞きました。
いろいろ感じることがありました。
東電はもう損害を賠償をしないと言っています。生協が蒙った損害は原発事故と関係ないからと言っています。
福島県から仕入れるのが難しいのであれば、他から仕入れればよいとも言っています。
しかし、今回訪問させていただき思ったのですが、現場を見ればそんなわけがない、見ればすぐわかると思います。ふくしま東和さんは1991年発足ですが、地域の方が集まって、どうしたら皆さんに安心して美味しく食べて貰えるか工夫をしながら生産してきました。買う側の消費者もそれを期待して買っているはずなので簡単に仕入れ先が代えられる訳がない。
私が見た二本松の山の中はのどかなきれいな景色が広がっていた。
都会に住んでいる者にしてみれば空気もおいしい。
駅について放射線量を測ったのですが、新聞で見るよりも放射線量が高いです。
佐藤さんの農場も測りましたが高いです。見た目は何にも変わらない山ですが、降り積もった放射線が溜まってしまっている。山を削り除染しているとのことですが、削った土は集めて置いてあるだけで結局変わらない。
東電はそのあたりも踏まえて対応しなければならないと思います。物には言い方があると思います。
この裁判では、そのような現地の方たちの声も届けたいと思います。
直接的には生協の損害賠償請求ですが、生産者の方々の思いも届けなければならないと福島県を訪問して思いました」  

野菜は客観的に安全
なのはな生協弁護団 舩澤弁護士
「私は長野県出身で山に囲まれたところで育ったのですが、長野県よりもっと穏やかな広葉樹の多いきれいな山だと思いました。
ふくしま東和の本多さん、佐藤さんの話を聞いたところ、もともと養蚕畜産の産地で野菜の産地ではなかったが、その中で野菜を栽培するにあたり他にはない特徴のある野菜を作ろうと思った時に、有機農法にこだわり山に積もった落ち葉を堆肥に使い農薬も使わずに育てたと。しかし手間をかけるとどうしても値段が上がる、それを理解して貰えるところと取引していこうとしてきたと言うことでした。原発事故の影響で山の広葉樹を使うことができなくなり、根本的なサイクルができなくなってしまった。以前の農法は使えなくなっているので、他から堆肥を買ってきて栽培している状況。放射能測定機も3台購入して、ふくしま東和で測定し、さらに生協でも測定して2重にチェックしている。
野菜自体は客観的に安全だが、福島県産というだけで購入したくない人もいて、ふくしま東和さんも大手の取引先に打ち切られてしまった等の話を聞く中で、東電の犯した行為は本当に罪深いなと感じました」

生産者を支えていく立場
組合員 山城さん
「私は裁判所に初めて足を踏み入れました。
今日、生産者の話を聞いて傍観者ではいけないんだなと感じました。
子どもがいるので放射能をできるだけ減らしたいとの思いがあり、放射能検査はしているのは分かっていても、産地で選んでいるところがありました。
ふくしま東和の本多さんの話を聞いて、そこまで努力をしているなら支えていかなければとの切実な思いが伝わってきたので、これから商品を選んで購入していきたい。また組合員に普及していく立場だと感じました」
 
質問
今回、裁判長が話し合いでどうでしょうかと、原告側と被告側に聞いていましたがどういう意味だったのでしょうか?

回答 
裁判官は裁判を行っている間は、民事訴訟法でいつでも和解勧告ができると決められています。いつかは和解を考えてくださいと言っているだけで、それに対して東電側は分かりましたと言っている。
今から和解を考えているわけでもなく、双方打診したということ。
和解と言っても賠償額がすごく少ない場合もあるので和解については期待しない方が良いと思っている。

 
最後に 福武公子弁護団長から
「今日の口頭弁論期日で終わるかと思いましたが、東電が反論するという事です。今回提出した準備書面でかなり細かい話になっているので、こちらで言うことはもうないと思います。加瀬理事長と岩崎専務と組合員2名、生産者2名には裁判所の証言台で証言してもらう予定ですが、全て受け入れるかどうかは9月に決まります。
意見陳述を裁判所が見て誰を証人として呼ぶのか、何時間やるのかが決まります。
証人尋問が裁判としてやるのに一番面白いと思います。
証人尋問をやったうえで東電が和解したいと言ってくるのか、それとも裁判所が賠償金でと言ってくるのか決まると思います。
話し合いで決められるのであれば決めたいが、話し合いと言ってもピンからキリまであります。ですから後2回の口頭弁論で終わると思ってください。
毎回、傍聴席が満席になるほど集まっていますので、裁判所にプレッシャーを与えていると思います。
引き続き皆さんのご協力をお願いしたいと思います」と話されました。

事務局より
口頭弁論も残すところ後2回となりました。今回証人予定者として6名を裁判所に申し出しています。しかし裁判長は「証人の必要性はあるのでしょうか?必要性について書面で提出してください」と言ってきています。
どうやら裁判長は証人尋問をしなくても、今までの準備書面で十分に理解していると言わんばかりです。今まで書面でやり取りを行ってきましたが、なのはな生協と生産者の考えや思いは本当に書面だけで伝わったのでしょうか?
次回の口頭弁論では、東京電力の反論と証人尋問の人数が決定されます。東京電力がどの様な反論をし、そして裁判所は証人尋問を受け入れるのか、ぜひ法廷に足を運び、皆さんの目と耳で確かめてください。
皆さんの力を結集して、この裁判に勝利しましょう。

第六回口頭弁論にご参集ください。
多くの方の傍聴をお願いいたします。

日時:2013年9月3日(火)午後1時30分~
場所:千葉地方裁判所603法廷

当日は午前12時45分より千葉地方裁判所前にて
門前集会を行い、口頭弁論終了後
向かいの弁護士会館3階大講堂にて
報告集会を行います。

訴訟支援カンパのご協力をお願いいたします。
銀行名  中央労働金庫 千葉支店
口座番号 普通 6372357
口座名  なのはな生協 訴訟支援カンパ