原発事故被害者「相双の会」会報136号が届きましたので転載します。

国、東電は、原発事故汚染水の海洋放出8月24日13 時に強行してしまった。
約束など何でも反故にしてしまう国に憤りを感じる。
国会とは何なのだと今更ながら思う方が多いのではないか。

2011年3月11日に未曽有の原発事故を起こし12年6ヶ月過ぎても何の対策もできないまま被害者を路頭に迷わせておきながら、「原発は安全、放射能は安全」 と言い、安全基準を吊り上げてきた。
放射性物質には安全基準などない。

憲法には、誰もが人間らしく生きられる生存権が明記されている。
ところがこの世で最も危険な原発事故でまき散らした放射性物質を、科学的根拠もないまま勝手に安全基準をつくり押しつけている。
それに国民から税金をとり、各電力会社がどんな状況になろうが損をしないように税金を投入してきた。
汚染水の置き場がない、汚染水は廃炉の妨げになるという。
多くの科学者から 「それは嘘だろう」と指摘されても、海洋放出を強行してしまった。
いかなるものでも海へ捨ててはならない。
何故なら 人間が生きていくためになくてはならない宝であるからだ。
何故トリチウムは良いのか⁉
海に生きる生物には国境はない。
当然海を汚せば各国から批判を受けるのは当たり前だ。

↑汚染水海洋放出反対8・27全国行動 8月27日、いわきで東北はじめ各地から600名が参加 し、汚染水の放出を止めろと声をあげた。漁民からは怒りの声、韓国からも6名が参加した

ALPS処理汚染水放出差し止め訴訟開始


漁業関係者と住民が、汚染水放出をやめさせるため、いよいよ裁判闘争に打って出ます。
この間、避難者訴訟や生業訴訟に携わってきた弁護士、東電の刑事責任追及や再稼働反対にとりくんできた弁護士が総結集し弁護団を結成。
次頁の様な「呼びかけ」を発しました。

ALPS 処理汚染水差止訴訟の呼びかけ


2023年8月21日
共同代表 弁護士 広田次男 弁護士 河合弘 弁護士 海渡雄一

1 ついに漁業関係者が、ALPS 処理汚染水を放出させないために、立ち上がりました。
福島とその周辺の住民で、彼らの貴重な決断を支え、これを応援する動きを作りたいと思います。
原告になってくださる方(裁判費用1万3000円をご負担いただきます。) を募集します。
さらに、詳細は決まっていませんが、支援する会もこれから作る予定です。

2 第一次提訴は、9月8日(金)13時に福島地方裁判所へ提訴する予定です。
当日は提訴行動を行いますので、福島地方裁判所前に集合したあと、13時に提訴予定です。
原告になっていない方も、原告の皆さんに連帯するために、ぜひご参加ください。
なお、第二次提訴は、10月末までに準備する予定です。

3 私たちが海洋放出に反対する理由は、主に次の点です。
・この汚染水は東京電力による福島原発事故とその後の東電と国による地下水の建屋への流入を止めなかった無策によってこれだけ増えてしまいました。
これは、東電と国の責任で、汚染物質の発生者が最後まで管理すべきです。

・過去に放射性廃棄物を故意に海に放出した例はありません。
仮に、薄めても放射性物質の総量は変わりません。
処理水にはトリチウムだけでなく、セシウム 134,137、ストロンチウム 90、ヨウ素 129、炭素14等が含まれています。
その健康への影響はどこでも評価されておらず、安全性は確認されていないのです。

・敷地内や敷地の近くに、7,8 号機の建設予定地などタンクをたてる場所はたくさんあります。
そして、海洋放出以外にも、大型タンクを増設するとか、汚染水をモルタル固化するなどの有効な代替案が提案されていますが、きちんと検討されていません。

・デブリの取り出しは、30年以上も先のことです。
福島復興のための海洋放出という説明はまやかしです。
いますぐにタンクの撤去を行う必要などないのです。

・放射性廃棄物の海洋への投棄は、ロンドン条約96年議定書によって全面的に禁止されています。
海洋放出はこの議定書に違反する可能性があります

4 原告になりたい方は、8月 31 日までに下記までメールで、電話番号とメールアドレスをお知らせください。
必要資料をメールします。
原告の氏名は、裁判上匿名にすることも可能です。
メールが使えない方はお電話ください。



広田法律事務所
〒970-8026
福島県いわき市平字八幡小路66番地9
電話番号0246-24-2340
メールアドレス hirotalo@dream.ocn.ne.jp

「ふくいち周辺環境放射線モニタリングプロジェクト」からの報告(1)

「ふくいち周辺環境放射線モニタリングプロジェクト」共同代表・中村順記

2022 年から 2023 年にかけて、帰還困難区域の中で特定復興再生拠点に指定されていた地域が除染 「完了」ということで、次々と避難指示解除されました。
私たちはその後を追う形で測定活動を行いました。
その結果を報告します。
「放射性同位元素等の規制に関する法律」や「電離放射線障害防止規則」などの法令では、実効線量 3 ヶ月で 1.3mSv(約 0.6μSv/h)または表面汚染密度 40,000 Bq/m²(私たちの使っている日立アロカ TGS146B の標準的な換算で表面汚染計数率 1,300cpm)以上で、放射線管理区域に指定となって いますが、私たちが測定したほとんどの場所がそれに該当しました。
日本では土壌汚染密度による避難基準は定められていません。
事故後 5 年の 1991 年に制定されたチェルノブイリ法では、185,000 Bq/m²以上で「避難の権利」が与えられ、555,000 Bq/m²以上は義務的避難となります。
固形ガンについては若年層と比べると影響が少ないとされている高齢者が、避難指示解除された地域の現状・危険性などを認識した上で帰還することに、反対することはしません。
しかし私たちは測定して現地の状況を知っているので、子どもたちや子育て世代が帰還することは 避けてもらいたいと、強く思います。

□双葉郡葛尾村 2022年6月12日避難指示解除
葛尾村で避難指示が解除されたのは、 特定復興再生拠点区域に指定されていた 野行(のゆき)行政区の一部です。
ほとんどが県道 50 号線に面した地域でした。
測定は 2022 年 7 月の 2 日間です。
46 ヶ所(ホットスポットを除く)で測定と土壌採取・分析を行いましたが、その中には 2016 年に避難指示解除になった場所と、野行行政区で帰還困難区域のまま残った場所が含まれています。
境界がはっきりしなかったためです。下にまとめた表を示します。
(なお、土壌汚染密度の中央値は、 889,500Bq/m²)
次頁の図は私たちが「土壌マップ」と 呼んでいる測定結果の可視化図ですが、 当該の役場や消防などに A2 判プリントをお届けし、またWebサイトの「公開デー タ」ページにて公開しています。
( http://f1-monitoring-project.jp/open_ deta.html )

土壌汚染密度の中央値は、975.000㏃/㎡でした。

□双葉郡大熊町 2022 年 6 月 30 日避難指示解除
避難指示解除は、大熊町大字夫沢・小入野・熊・下野上・野上などの地域で、地番指定の形で行われています。
測定は、2022 年 7 月から 11 月にかけて行いました。
大熊町も葛尾村と同様、解除されたエリアと帰還困難区域の境界がはっきりしていませんでした。
ホットスポットを除いて 122 ポイントで測定と土壌採取を行っています。
土壌汚染密度の中央値は、
975.000Bq/m²でした。
(次号に続く)