電源開発が青森県大間町に建設中の大間原発の建設差し止めを求めた訴訟の控訴審第2回口頭弁論が5月28日、札幌高裁でありました。
[事前集会の様子]
[札幌高裁前]
この日は2人の意見陳述が行われました。
釧路市在住の大学講師の井上さんは、福島の農林漁業が未だに回復していないことや大間原発で事故があった場合に北海道に与える影響について具体的数字を示し、「世界に例のないフルMOX、炉内には6.5㌧ものプルトニウムが装荷される日本最大の出力の原子炉を、原発を扱う技術の蓄積がほとんどない電源開発が運転する。
なぜ、北海道の人間がそのようなリスクにおびえながら生活しなければならないのか。司法に力で理不尽な国や電源開発の動きを止めて欲しい」と陳述しました。
続いて、なのはな生協組合員の菅野さんが陳述しました。
菅野さんは、陳述の冒頭で「函館は、両親、祖父母が住んでいた町であり、親しい友人が暮らしていて、自分の故郷と言うべき土地だ。原発は非常に危険なものであると思っていた」と、原告に加わった理由について述べました。
その後、「野菜や魚の出荷停止、出荷自粛、水道水の汚染が生じた。各地にホットスポットができ、ごみ焼却所の焼却灰からは基準を超える放射性セシウムが検出され、今も県内9市で保管されている。周囲には避難したり、移住した友人もいる等々、福島第1原発事故は200㎞以上離れた自分が住む千葉県にも大きな影響を及ぼした」と具体的に言及しました。
福島の現状について、「福島では子どもの甲状腺がんは、確定が179人、疑いが223人もおり、通常では100万人に2~3人と言われている」とその異常さを指摘。
避難した人は、「家族が離散し、避難先を転々とし、体調不良や持病の悪化、収入減、子どもたちはいじめら不登校になる」など苦難の生活を強いられている。それにもかかわらず、「国と東電に対する責任と損害賠償を求めた裁判では、国も東電も全く誠意のない態度を取っている」と批判しました。
その上で、「原発は、いのちの問題であり、良心、倫理の問題だ。大間原発の進捗率は37%であり、今引き返せば後世に膨大な放射性廃棄物を残さずに済む。電力は足りており、膨大な費用をつぎ込んで大間原発を建設しなければならない理由は何ひとつない」と訴えました。
最後に、「高裁は、地裁で判断されなかった争点について十分に検討されることを願っている。住民が安心できる暮らしを裁判所が守ってくれることを信じている」と結びましだ。
[「大間原発訴訟の会」代表竹田氏]
[報告会の様子]
次回期日は、9月5日(木)14時から。