7月31日(金)原発事故被害者「相双の会」会報39号が届きましたので、転載します。

福島第1原発事故に伴う避難生活中に自殺した福島県浪江町の五十崎喜一 (当時67歳)さんの遺族が東電に約8700万円の損害賠償を求めた訴訟で、
福島地裁は6月30日、「帰還の見通しすら持てない多大な喪失感でうつ状態になった」と事故との因果関係を認め、東電に 2700万円余を支払うよう命じました。
原発事故の避難住民の自殺を巡る訴訟で東電の賠償責任を認めたのは2例目。
7月13日、浪江町に住んでいた五十崎さん一家の今のお住まい、福島県二本松市に、東電の社員3名と代理人弁護士 1名の合計4名が、「謝罪」と「仏前にお花」を届けに訪問しました。
五十崎さんの代理人弁護士代表のいわき市の広田次男さん・避難者訴訟原告団長の早川篤雄さん金井直子さんが同席しました。

連れ合いの五十崎栄子さんはこう話されました。
「原発事故さえなかったら、お父さんは将来を悲観して死を選ぶなんてことはなかった。
原発事故さえなかったら。
そして裁判をやらなければ、勝訴しなければ謝罪もしてもらえなかった。
だから、私は頑張った。こんな理不尽なことがあってはならない。ただ、事故を起こした責任を取って誠意ある謝罪を求めていた。それだけだった。」

 電力会社と国は一体となって、福島第一原発事故を顧みず、放射能まみれにしてしまった福島を切り捨て、再稼働をしょうと目論んでいます。
各電力会社は原発が稼働しないために「赤字だ」「経営が困難」といい、国も同調して料金値上げを認めてきました。
結果は大儲けになっているのです。国民と中小企業だけが食い物にされ、消費税8%になって生活必需品も値上がりし庶民は窮地に追い詰められています。

2013年9月、福井県にある大飯原子力発電所 4号機が定期検査のため停止してから後、日本 の原発50基は全て停止しています。
この間、電力不足に陥ったなどと一度も聞いていません。
危険な原発を稼働させなくても電力は十分間に合っている事が証明されたのです。
今後は地球温暖化を避けるために再生エネルギー開発が重要と思います。
例え電力不足であっても安心安全で平和な社会、日本であることが望まれることでありましょう。
よってこれまでの活動をふまえ、南相馬在住の「相双の会」の方たちと、今、何が必要なのか、何をすべきなのかを追及してきた結果、「放射能から市民を守る」ことに突き当たりました。

1、永い廃炉の監視をはじめとする、脱原発・反原発・再稼働反対・原発輸出反対の賛同者を拡大・結集し、継続した活動を進めます。
津波による犠牲者を超える原発事故関連死、そして原発事故により放射性物質が拡散され何十年、何百年と続くであろう放射能への不安。
まさに生命も人生をも奪う原発(事故)は、放射能と人間(生物)は共存できない事を明白にしました。
経済を優先させる原発推進の国策は、 相双地方を破壊してしまいました。
その反省の無いまま国民の声を無視して、 原発を再稼働する事は許されません。

2、汚染水・廃炉作業に伴う《放射能の 再拡散》を許さず、徹底した除染を求め、 甲状腺検査・医療体制を充実させ、人間社会・自然環境を破壊された相双地方を 『安心・安全』な街にする事である。
市民が、子どもたちが安心して暮らせる街を取り戻すために、南相馬市で採択した「脱原発都市宣言」を拡め、諸活動を展開します。
国連人権理事会(2014年5月)は、《公衆被曝を年間1ミリシーベルト以下にすべき》と勧告したが、日本政府は「非科学的だ」と反論。
しかし国際放射線防護委員会も《1ミリシーベルトを目指すべき》としています。
しかしながら日本政府は国民をだまし、勧告を無視して避難解除の基準を科学的・論理的に住民に納得できる説明をしないで、年間20ミリシーベルトとして強引な避難解除をしています。
さらに、今後続く低線量被ばくの不安に対し、政府・仮面を被った学者は科学的根拠がないままに『問題ない』として国民をだまし、そして実験台にしています。
私たちは今こそ立ち上がり、後世を守る息の永い取り組みが必要になります。

3、原発事故の検証、政府・東電の責任を明確にして行くと共に、その責任追及をしている各原告団との連帯・支援を強めながら、謝罪・賠償・暮らしの回復などの活動に努めます。
「勧告した安全評価を十分実施しなかった、国際的な慣行に従わなかった」 と国際原子力機関が東電・政府の「想定外」なる弁明を一蹴し、歴代政権の対応の甘さを痛烈に批判しています。
東電は、福島県沖でマグニチュード8.3の地震が発生すれば、最大約 15.7メートルの津波が第一原発に達すると試算(2008年)していましたが、世界一の地震国日本に関わらず、東電はなんらその対策を取りませんでした。
また、原子力安全・保安院も迅速な対 応を求めず、今回の原発事故はまさに人災であり許す事が出来ません。
以上のような趣旨で、南相馬はじめ各方面の皆さんと相談し、9月ころには結成を目指して準備したいと存じますので多くのご賛同をお願いします。

準備事務局連絡先 國分富夫 電話 090(2364)3613 〒975-0017 南相馬市原町区牛越字遠藤 88-3

これでも避難解除か!?命を何と考えているのか!
避難解除を宣言した自民党政権は避難者をなんと考えているのでしょうか、
これまで各市町村は何度もアンケートを取り状況を把握してきました。
その結果、解除すれば「帰還する」と応えた方は一割も満たないのです。
地域によっては5%以下の所もあります。
それも 60歳以上の方が殆どではあります。
理由は放射能による被ばくが心配だからなのです。

山積みにされたフレコンバッグ

「3.11以前」の線量に山、川、農地が戻らねば、安心して帰れないのです。
国連はじめ世界の常識が『公衆被ばくは年間1mSV以下』であるのに、日本政府だけが勝手に20mSV/年以下(これはレントゲン技師など特別な関係者だけの基準)とし、宅地と宅地から20メートル以内の山林が20mSV/年以下になっていれば「帰還可能」というのです。
事故被害者の命と健康等どうでもいいと思っている方々が決めたと思うしかありません。
福島県全域で汚されない所などありません。
そればかりでありません。
近隣県だって大変汚染されたではないですか、特に福島の浜通り、そして相双地方です。
被害者の命と健康を無にしても経済を優先する。こんな事が許されて良いのでしょうか。
誰も故郷へ帰りたい。帰りたくない人等いません。

7月初に計測した線量です


原町区鉄山 毎時 5.71μ Sv(年換算では 50mSv)
五台山入口 毎時 3.2μ Sv(年換算では 27m Sv)

■以下、1時間当たりのμSv(いずれも年間1mSvを 大きく上回る)
原町区 馬場綿津見神社 1.11
馬事公苑 0.7
高倉ダム 0.65
小高区 羽倉小荷駄 1.0
羽倉菖蒲沢 0.6
羽倉公会堂前 0.65
大富大穴 0.65
大富公会堂 0.55
金谷坂の上 1.3
金谷南原 1.0
金谷公会堂 0.55
飯崎向山 0.45
摩辰 0.7

 

 

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