講演会報告~今、ふるさと福島で起きていること~
5月21日、船橋市勤労市民センターにて、なのはな生協主催~今、ふるさと福島で起きていること~をテーマにした脱原発の講演会が開催されました。講師は命の尊さを語り継いでいる神田香織さん(講談師 福島県出身)。
当日は、代表作である「はだしのゲン」「チェルノブイリの祈り」の一節をまじえながら、福島の現状、そこに住んでいる住民の苦悩、国や東京電力の誠意のない対応を怒りをもって、時にはおもしろおかしく話していただきました。
「福島の現状を知り、福島の未来に思いをはせる。福島の未来は自分達の未来だという考えをもってほしい。原発との闘いは長期戦、あきらめずにしつこく楽しく続けること」いう言葉が印象的でした。
笑いあり、涙ありのあっという間の2時間。
神田香織さんが、講演会の中、原発事故で南相馬市から滋賀県に避難せざるを得なくなった人の詩を朗読。皆様に広めて欲しいということです。
これを紹介します。
『拝啓関西電力様』 青田 恵子
エアコン止めで、耳の穴かっぽじって よーぐ聞け。
福島には、「までい」っつう言葉があんだ。
までいっつうのは、ていねいで大事にする
大切にするっちゅう意味があんだ。
そりゃあ、おらどこ東北のくらしは厳しかった。
米もあんまし穫んにぇがったし、べこを飼い
おかいこ様を飼い、炭を焼き
自然のめぐみで、までいにまでいに今まで暮らしてきた。
原発は いちどに何もかもを奪っちまった。
原発さえなかったらと壁さ チョークで遺書を残ーして
べこ飼いは首を吊って死んだ。
一時帰宅者は、水仙の花咲く自宅の庭で自分さ火つけて死んだ。
放射能でひとりも死んでないだと……
この うそこきやろう 人殺し
原発は 田んぼも畑も海も人の住む所も
ぜーんぶ(全部)かっぱらったんだ。
この 盗っ人 ドロボー
原発を止めれば
電気料金を二倍にするだと……
この 欲たかりの欲深ども
ヒットラーは毒ガスで人を殺した
原発は放射能で人を殺す
おめえらのやっていることは
ヒットラーと なんもかわんねぇ。ヒットラーは自殺した
おめえらは誰ひとり責任とって 詫びて死んだ者はいない
んだけんちょもな、おめえらのような
人間につける薬がひとつだけあんだ。
福島には人が住まんにゃくなった家が
なんぼでもたんとある
そこをタダで貸してやっからよ、オッカアと子と孫つれて住んでみだらよがっぺ
放射能をたっぷり浴びた牛はそこらじゅう ウロウロいるし
セシウムで太った魚は腹くっちくなるほど 太平洋さいる
いんのめぇには、梨もりんごも柿も取り放題だ。
ごんのさらえば飯も炊けるし、風呂も沸く
マスクなんと うっつぁしくて かからしくてするもんでねぇ
そうして一年もしたら
少しは薬が効いてくっかもしんにぇな
ほしたら フクシマの子供らとおんなじく
鼻血が どどうっと出て
のどさ グリグリできっかもしんにぇな
ほうれ 言った通りだべよ
おめえらの言った 安全で安心な所だ。
さあ、急げ! 荷物まどめて、フクシマさ引っ越しだ
これが おめえらさつける
たったひとつの薬かもしんにぇな。
相馬弁の解説
① んだげんちょも…だけれども
② 腹くっちく…腹いっぱい
③ いんのめえ…家の前
④ ごんの…焚き物にする小枝や落ち葉
⑤ うっつぁし…うっとうしい
⑥ かからし…わずらわしい