米国産生ジャガイモの全面輸入解禁に反対し
日本の農業と食の安全を守るための要請書
2026年 9月 7日
農林水産大臣 鈴木憲和 様
なのはな生活協同組合
代表理事 岩﨑 秀人
なのはな生活協同組合は「人の命とくらしを守る」という理念のもと、地域の生産者と組合員が支え合い、安全で安心できる食を未来へつなぐことを使命として活動しています。私たちは、生産者と組合員が互いに信頼し合う「顔の見える関係」を大切にし、子どもたちの未来に健全な食と豊かな農の環境を残すことを重要な責務と考えています。
現在、農林水産省が進めている米国産生ジャガイモの全面輸入解禁に向けた植物防疫法関係省令の改正等について、私たちは、国内への病害虫侵入リスク、国内農業の持続性、食料安全保障、食の安全への影響を懸念し、強く反対します。
1.病害虫の侵入・蔓延を防ぐ植物防疫体制を守ること
日本が生ジャガイモの輸入を原則として禁止してきた重要な理由の一つは、海外から病害虫が侵入し、国内のジャガイモ生産に深刻な被害を及ぼすことを防ぐためです。
なかでもジャガイモシロシストセンチュウは、土壌中に長期間生存し、一度農地に侵入・定着すると根絶が極めて困難な土壌病害虫です。そのため、発生後の防除よりも、侵入そのものを防ぐことが極めて重要です。
2015年に北海道で確認されたジャガイモシロシストセンチュウでは、発生地域で作付け制限等の防疫措置が講じられ、その影響は長期に及んでいます。この経験からも、病害虫の侵入が生産者の地域農業に長期的な負担をもたらすことが分かります。
病害虫は、一度国内に定着すれば、その影響を完全に取り除くことは容易ではありません。
したがって、病害虫の国内への侵入・蔓延を未然に防ぐため、現行の厳格な植物検疫体制を堅持し、病害虫侵入のリスクを高める米国産生ジャガイモの全面輸入解禁を行わないことを強く求めます。
2.国内農業と食料安全保障を守ること
国内のジャガイモ生産は、気候変動、生産資材価格の高騰、生産者の高齢化や減少など、厳しい環境に置かれています。
こうした中で安価な米国産生ジャガイモが大量に流入すれば、国産品の価格や販売環境に影響し、生産者の経営をさらに圧迫することが懸念されます。
一度失われた農地や生産者、地域の農業基盤を取り戻すことは容易ではありません。
食料安全保障の基盤は、国内に農地と生産者が存在し、必要な食料を継続して生産できる力を維持することです。海外からの調達に依存するのではなく、国産農産物の生産基盤を守り、持続可能な国内農業を支える政策を求めます。
3.消費者が安心して食品を選べる環境を守ること
米国では遺伝子組換え技術等を利用したジャガイモが流通しており、日本でも一部の遺伝子組換えジャガイモについて利用が認められています。また、今後、ゲノム編集技術を利用したジャガイモが流通する可能性もあります。
私たち消費者が食品について十分な情報を得て、自ら選択できることは、食の安全と信頼を守るうえで不可欠です。
また、米国産ジャガイモでは、日本とは異なる農薬や収穫後処理剤等が使用される可能性があります。これらについては、安全性評価や残留基準だけでなく、使用実態や国内基準との違いを含め、消費者に分かりやすい情報提供が必要です。
貿易拡大を理由として、食の安全や消費者の選択する権利が後退することがあってはなりません。
要請事項
以上を踏まえ、以下の事項を強く要請します。
- 米国産生ジャガイモの全面輸入解禁に向けた植物防疫法関係省令の改正および関連する内部手続きを中止すること。
- ジャガイモシロシストセンチュウをはじめとする病害虫の侵入・蔓延を防ぐため、厳格な植物検疫・防疫体制を維持・強化すること。
- 国産ジャガイモの安定生産と生産者の営農継続を支え、国内農業の生産基盤と食料安全保障を守る政策を強化すること。
- 遺伝子組換え・ゲノム編集ジャガイモ、農薬・収穫後処理剤等について、消費者が十分な情報を得て選択できるよう、表示と情報公開を充実させること。
- 日米貿易交渉等において、植物防疫制度、食の安全、国内農業の生産基盤を損なうことにつながる圧力を受け入れず、日本の食料主権を守ること。
子どもたちが将来にわたって安心して食べることができ、生産者が誇りを持って農業を続けられる社会を残すため、米国産生ジャガイモの全面輸入解禁を行わず、現行の植物検疫体制を堅持・強化することを、重ねて強く要請します。
