10月20日(木)に千葉地方裁判所・新館6階601号法廷にて「原発被害者集団訴訟第2陣 第4回口頭弁論期日」が開かれます。
(※原発避難者集団訴訟第2陣とは…2011・3・11の東京電力福島第一原発事故により千葉県には、福島から3,000人以上の方々が避難しています。先行している原発被害者集団訴訟に続き、第2陣訴訟では、その内の6世帯20名の方々が原告です。
なのはな生協ではこの裁判に注目し、福島原発事故を風化させない、福島の現状を知り、支援するために傍聴をし続けています。)
今回の裁判のみどころは?
1弁護団は、”国と東京電力は、2002年の時点で、福島第一原発事故の敷地高さを超える津波の到来を予測することができ、2006年の時点で、必要な津波対策を講じていれば、本件事故の原因である全交流電源喪失を回避るすことが可能であった”こと等を明らかとした主張書面を提出します。
2弁護団は、”最新の知見を踏まえれば、低線量被ばくであっても健康への影響は生じる” ”低線量被ばくがもたらす健康影響の危険性に対して、通常であれば、不安や恐怖を感じて避難を選択し、避難を継続することは相当である”等を明らかとした主張書面も提出します。
原発被害者集団訴訟第2陣って?
原発被害者集団訴訟第2陣とは、区域外避難者のみを対象とした集団訴訟です。
区域外避難者とは、政府が避難指示を出している区域 (警戒区域・計画的避難区域など) の外の地域から避難した方々のことです。
現在,東京電力から賠償を受けられるかどうかの基準として、区域内であるかどうかによって扱いが違ってしまっています。
しかしながら、そもそも事故当時、放射性物質は時々刻々と拡散し、これに伴って、政府による避難指示は場当たり的に変遷していきました。
そのため、住民は避難指示の有無にかかわらず避難行動をとる人も多くいました。
ところが、その後,政府による避難区域の設定により、「区域内避難者」と「区域外避難者」に選別されてしまいました。
区域外避難者とされる方々は、区域内の避難者と同じ行動をしながら、政府が行った線引きによって、賠償を受けられなくなるなどの不利益を受けているのです。
政府は年間20ミリシーベルト以上の地域を避難区域に設定していますが、この基準自体が何ら安全性を保証する数字ではありません。
また、放射線は、性別や年齢で受ける影響が異なるにもかかわらず、一律に線引きをしています。
さらに、ホットスポットと呼ばれる、局地的に放射線量の高い場所が存在するなどしています。
放射線量が下がったとして避難指示が解除された地域も、本当に放射線による影響の不安をめぐうことはできません。
また、一度避難指示が出た地域は、避難指示が解除されたからと言って元のコミュニティーが回復する保証はありません。
このように、区域外避難者とされる方々も、区域内の避難者と同じような避難を余儀なくされているにもかかわらず、政府の不合理な線引きにより、翻弄されてしまっているのです。
なお、先行している原発被害者集団訴訟は、福島県から千葉県内等へ避難した18世帯47名の方々を原告とし、現在,千葉地方裁判所にて、審理されています。
この裁判に参加している人 (原告) はどのような方なの?
福島市, いわき市、南相馬市原町区から千葉県へ避難された合計6世帯20名の方々です。
この裁判に参加している皆さんは、いろいろな事情の方がいます。
当時妊娠中だった方、成長期のお子様のいるご家庭、ガイガーカウンターを購入して自宅周辺の放射線量を測定して避難を決めた方、屋内退避命令を受けて避難をしたものの、その後緊急時避難準備区域の指定を解除された方…。
望んで避難をしたわけではありません。皆さん、政府や東京電力の発表に翻弄され、見えない放射能に苦悩しながら、苦渋の決断をして、住み慣れた場所から避難してきたのです。
この裁判の目的は?
裁判所に以下の内容を認めさせ、原告の方々が完全かつ早期の賠償を受けることです。
・本件原発事故を引き起こした被告国及び被告東京電力による法的責任があること
・避難者を区域内・区域外と線引きすること自体がおかしいこと
・今回の原発事故で避難された方々には等しく避難する権利が認められること
そのうえで、原告の方々の健康面や生活面に対する支援体制の確立を促し、その痛みを国民一人一人が分かち合い、再びこのような悲惨な原発事故による被害や苦痛を生むことのないよう司法による救済を求めます。
今後の裁判の日程
平成28年12月8日(木)午後1時30分 第5回口頭井論期日@干葉地方裁判所601另法廷
平成29年2月9日(木)午後1時30分 第6回口頭井論期日@干葉地方裁判所601另法廷(予定)
ひとりでも多くの方に傍聴していただけたらと思います。
よろしくお願いします。