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相双の会 会報76号

相双の会 会報76号

原発事故被害者「相双の会」会報76号が届きましたので、転載します。

福島原発事故で明らかになった事は、何百年と続いてきた歴史も財産も全て奪われてしまう事です。
被害を受けた近隣市町村はどこに行っても除染土壌の仮置き場となっています。
なのに、もう7年以上過ぎているから安全だと、強引な避難解除です。
そして、 フレコンバックにつめて山積みの汚染土壌は、大量だから、飯舘、南相馬、二本松で実証実験して農地や河川や道路に再利用すると言うのです。
そのために国や 電力会社が都合の良いように特別措置法をつくり切り抜けようとしています。

本来は緊急事態などに際して現行の法制度では対応できない場合に制定される法律なのに、7年もたってもまだ「緊急事態」とされ命や健康などは無視され「特措法」で放射能の安全基準をどんどん下げています。

そういう中で、フレコンバッグを飯舘村長泥(現在帰還困難地域)に持ち込んで最終処分するという計画について、飯舘村の放射能被害と向き合い村の安全な復興に協力してきた研究者グループ (今 中哲二京都大学研究員ら)が8月に協議しました。
そこに國分も参加したので、 以下報告します。

 


 

今中さんの提起
-フレコンバックは東電敷地に

「長泥で処分しようとしているのは、 国の直轄除染で出てくる除去土壌のフレコンバッグである。
長泥の作業場にフレコンバッグを持ち込んで土壌を取り出し、 草木・石等の異物を分別し、一定濃度 (5000Bq/kg)以下の土壌を比曽川(新田川の支流)沿いの田んぼの上に積み上げ、 さらに50cm の覆土を行う。
覆土の上で花卉やエネルギー作物を作るので、「除去土壌の再生利用」になるという。
『南相馬の再利用実証試験』、『二本松の道路基盤材』、 『長泥の農地造成材』が3点セットで提案されている。
長泥は飯舘村の了解を得て粛々と進行中らしい。

環境省の資料では、『飯舘村からの要望があり…』実施となっている。
長泥の皆さんに聞くと『苦渋の選択だった』とのこと。
ネットやニュースによると、大熊や浪江の帰還困難区域では復興再生拠点計画が進められており、長泥も除染など何とかしてほしいという要望を村が出したら、フレコンバッグ処分場とのバーターとなったようだ。
国直轄除染による除去土壌は、すべて中間貯蔵施設へ持って行くはずだった。
中間貯蔵施設がなかなか進まないので地元で処分するのは話が違う。
私に言わせれば、除染だって環境省が勝手に決めて、自分でフレコンバッグの山を作った。
中間貯蔵施設で間に合わないなら、汚染物・フレコンバッグはすべて東電の敷地に運び込むべきだ。
福島第二原発も廃炉になるし、その他、東電の敷地はたくさんあるはずだ。

国の態度。

その後参加者で情報を交換し分析したところ、次のようなことが明らかになりました。

環境省は「実証事業により安全性を確認したうえで、造成が可能な農用地等については、再生資材で盛土した上で覆土することで、農用地等の造成を行い、農用地等の利用促進を図る」と言う立場。
政府は2017年5月に福島特措法を改訂し、 帰還困難区域を対象とする「特定復興再生拠点区域」の条項を追加した。

帰還困難区域は当面除染しないという方針だったが、これで帰還困難区域の避難指示を解除する道が作られた。帰還困難区域を抱える市町村長が、特定再生拠点復興計画案を復興庁に提出し、内閣総理大臣が計画を認定すると、計画に従って国が除染を行い、避難指示を解除し、ついでにインフラ整備等を行う。
復興計画には、農地基盤整備、家屋解体・除染、村営住宅、交流施設など入っているが、 その適用には国が気に入るようなプロジェクトが含まれることが事実上必要で、 長泥の場合はそれで除去土壌再利用となった。

2017年11月に、飯舘村、長泥行政区、 環境省が、「長泥地区における除去土壌の再生利用を含む環境再生事業」で合意し、 特定再生拠点復興計画案は 2018年4月20日に認定されている。
長泥に今年度は 3万個のフレコンバッグを運び込むというが、飯舘村内の230万個のフレコンバッグを処分するには足りない。

南相馬市からなし崩しに汚染土壌「再利用」へ

汚染対処特措法(2011.8.30)には、再利用(再生利用)という文言はない。
しかし 2011年11月に「特措法の基本方針」が閣議決定され、その中に「再生利用等を検討する必要がある」と官僚は布石を打っていた。
今回の福島での実証実験により再利用の政令、法令化を検討しているとのこと。

環境省担当者は、「飯舘村からの要望に基づくもので、除染とのバーターではない」と述べている。
しかし長泥の住民はあくまで、宅地周囲の除染とのバーターという認識だ。

農地は私有地であるので、私有地に放射能汚染土壌を再利用するという、道路等の公共事業での再利用とは次元が異なる問題である。
しかも盛土する農地は比曽川の川岸であり、除去土壌が流出しないように擁壁設置管理が必要だが、検討されていない様だ。
南相馬では2016年に「除去土壌を再利用して、小高区のフレコンバッグ仮置場を早く解消したい」(仮置場51カ所、フレコンバッグ161万個)と桜井前市長が言い出した。
桜井前市長のおかげで、飯舘や二本松に除去土壌利用がひろがってしまった。
当初は、防潮堤や道路在で再利用するというふれ込みだった。
常磐高速小高 IC の建設について、環境省・復興庁サイドから「除去土壌再利用 OK なら費用を出しましょう」という話も南相馬市にあったようだ。
今年1月に市長になった門馬現市長は、再利用には慎重だ。

「再利用」で儲ける企業

除染・減容・再利用に絡んでいる企業は「除去土壌等減容化・再生利用技術研究組合」を作っている。
彼らは、除染が一段落したこれからは、減容化・再利用ビジネスを考えている。
長泥で実証実験されたら、除去土壌の再利用がいつの間にか全国展開されていた、ということにもなりかねない。
除染土壌の農地基盤での再利用(農地での最終処分)の前例、一般化することの危険性を十分に理解してもらう。
今中さんらのグループは、まずは長泥の人と意見交換をし、除染土壌再利用の問題を広く訴える集会をもつことを考えている。
また、従来おこなってきた住民への支援として放射線量調査を継続するそうだ。

 


 

飯舘村民救済ADRの活動報告

弁護団事務局長 弁護士
只野 靖

■飯舘村民救済ADRは、2014年11月14日、775世帯約3000人で申立をしました。
弁護団は実働80人あまりです。

請求項目は、
①避難慰謝料の増額、
② 初期被ばく慰謝料、
③生活破壊慰謝料、
④田畑の賠償の単価増額です。

申立にあたっては、全世帯について担当弁護士を割り振って面談聴取を行い、 聴取報告書を作成し提出しました。
2015年11月にはADRの仲介委員の現地視察を実現しました。
2017年2月には、ADRで、京都大学の今中哲二先生のヒアリングをやりました。

■①避難慰謝料の増額については、一定の成果を上げています。
先行した浪江町のADRでは、月額10万円の慰謝料に加えて、一律5万円を増額するという和解案が出ました。
しかし、最終的には、 東電は、この和解案を受託しませんでした。

そこで飯舘村のADRでは、個別の世帯の事情に応じて増額する和解案を出しています。

一つ目は、要介護、身体障害、精神障害など事情がある方を対象とするものです。
軽い方でも月額2万円、重い方になると月額5万円を増額しました。
さらに、 そういった方の介護を日常的に行った方についても、同じ金額を増額しました。

二つ目が、懐妊中の期間のうち6か月間について月額3万円を増額しました。
さらに乳幼児の世話を恒常的に行った方に対しては、子どもが小学校へ入るまでの間、月額3万円を増額しました。

三つ目が、家族との二重生活、別離を強いられた世帯に対して、月額3万円を増額しました。
これらADRの和解案に関しては、東電も基本的には受託しています。
全775世帯中、559世帯が、 何らかの該当があります。

一つ目と二つ目については、介護手帳、 障害者手帳、住民票の提出が必要ですが、 三つ目については、聴取報告書によって認定しています。
非常に簡素化された手続きで認定されているのは、集団で申立てたことのメリットといえます。

■②初期被ばく慰謝料については、飯舘村民の初期被曝量は、避難指示が遅れたこともあり、福島県の中でも突出して高いのです。
ADRは、今中先生の調査研究により、10ミリシーベルト程度の被曝をした証明を受けた約200人を対象として1人15万円、長泥の方には50万円の和解案を出しました。
もちろんADRの和解案の水準には、不満があるのですが、清算条項が無いこともあり、私たちは受諾しました。
しかし、東電は受諾していません。

■③生活破壊慰謝料、④田畑の賠償の単価増額については、ADRが和解案の提示をしませんでした。
ADRは、これは一律請求であり、「東電が呑みそうもない 和解案を出してもしょうがない」と発言しています。

■飯舘村で、一番大変な状況に置かれている方は、不動産を所有されていない方、 高齢で家族数が少ない方です。
不動産の 賠償金額は、もちろん十分ではありませんが、それでもそれなりの金額が出ています。
また、家族数が多ければ、例えば、 7人家族ならば月額70万円出ています。
これに対して、単身で暮らされている方には月額10万円ですから、避難先で全部、使ってしまっているはずです。
だからこそ、一律の②初期被ばく慰謝料や③生活破壊慰謝料の支払いが必要だと思います。
これらは、ADRでは解決困難ですので、今後、裁判手続きに進めるかが 当面の課題です。

■原発が再稼働されるのはなぜか。
東電が賠償を拒否するのはなぜか。
それは福島原発事故の被害が忘れられて矮小化されてきているからです。
これを覆すためには何が必要か。
それは被害者が怒りの声を上げ続けるしかないんです。
それは 被害者の責任でもあると思います。

ご意見のお願い
是非ご投稿をいただき「声」として会報に載せたい
と考えています。匿名でもけっこうです。
◇電話 090(2364)3613
◇メール(國分)kokubunpisu@gmail.com

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