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相双の会 会報97号

相双の会 会報97号

原発事故被害者「相双の会」会報97号が届きましたので、転載します。

私たち「ふくいち周辺環境放射線モニタリン グプロジェクト」は、2012 年 10 月から主に福島県浜通りで放射線の測定を続けている団体です。
福島県や関東地方に在住の原則 60 才以上の メンバーが、毎月 1 週間の日程を組んで測定活動を行っています。
2020 年 4 月で 71 回のモニ タリングを実施しました。
これまでに測定を実 施したエリアは、南相馬市西側、2016 年に避難指示が解除された葛尾村、2017 年に避難指示が解除になった浪江町・富岡町・川俣町山木屋、川内村東部、伊達市保原地区などです。
メッシュ 法を採用し、空間線量率(μSv/h)、表面汚染計数率(cpm)、土壌汚染密度(Bq/m2)などを調べています。

以下、2019 年度の測定活動を中心に、報告させて頂きます。

「汚染土壌の再利用」?!
2016 年 6 月、環境省は除染によって剥ぎ取った汚染土壌について、8,000Bq/kg 未満のものは公共事業等で再生利用可能であるとした『基本的考え方』を公表しています。
そして、2018 年末には除去土壌を小高区羽倉で、常磐自動車道拡幅工事の盛り土(芯になる部分)に使用する計画を発表しました。
期限のない「実証事業」 であり事実上の永久処分に他ならず、地域の方々は強い反対を表明しています。
原発事故で 放射能汚染を被った地域なのに、やっと避難指示が解除になったのに、さらに汚染土壌を持ち込むなんてとんでもない、という主張だったと思います。
そういった状況を踏まえて地元行政区長さん、地域住民の方々らと相談の上、2019 年 3 月から 5 月にかけて測定を行いました。

*小高区西側 全 320 ポイントでの平均は
1m高空間線量率 0.71μSv/h
土壌汚染密度 475,000Bq/m2
(中央値は 334,000Bq/m2)でした。

*従来の法律では 40,000 Bq/m2以上は放射線管理区域と指定されます。
今なお周辺は「原子力緊急事態宣言」が解除されないので、このような高度の土壌汚染地域も居住可能とされてしまっているのです(相双の会注)。
*この実証事業計画は、今のところ停止中です。
止まっているだけで、撤回されたわけではありません。

空間線量率も「放射線管理区域」をこえたまま
6 月から 9 月までは、懸案になっていた飯舘村の測定を行いました。
2017 年 3 月末、南部に位置する長泥行政区(帰還困難区域)を残し、 避難指示が解除されていましたが、私たちの力量不足で手を付けることが出来なかった地域でした。
*飯舘村南部 482 ポイント(ホットスポット は除外)での平均は
1m高空間線量率 0.88μSv/h

土壌汚染密度 609,000Bq/m2
(中央値は 533,000Bq/m2)でした。
南相馬市小高区西側も飯舘村南部も、平均で 1m高の空間線量率が国の「放射線管理区域」の 基準、0.6μSv/h を大きく超えています。
未だ国 は土壌汚染については基準を作っていませんが、 以下の数値を記しておきます。

【参考】チェルノブイリ原発事故から 5 年後に制定された「チェルノブイリ法」では、 185,000Bq/m2以上で避難の権利(生活保障)が 発生し、555,000Bq/m2以上で義務的避難。
小高区や飯舘村南部の測定と時期を調整しながら、南相馬市山側 8 行政区の通算 4 巡目測定 は、鹿島区の 2 行政区を最後に 11 月に終了しています。

測定が完了した各地域のデータは可視化図にまとめ、A0 版または A1 版のプリントを作成し、 地元の皆さんに提供するとともに、市町村役場 や管轄する消防署などにお届けしています。

聖火リレー予定周辺の放射線調査結果は

無理やり招致した 2020 東京オリンピック・パラリンピックを、原発事故被災者を放り出したままで「復興五輪」と称して、福島県から聖火リレーをスタートする計画を知った時は唖然としましたが、2019 年 12 月と翌 1 月に、主に浜通りの市町村で聖火リレー予定地周辺の放射線調査を行いました。
この調査は NPO・ちくりん舎さんと NGO・FoE ジャパンさん、飯舘村・伊藤延由さんらとの共同作業として実施、「ふくいち」としては初めての経験でした。
楢葉町・富岡町・大熊町・葛尾村・川俣町・浪江町・南相馬市・飯舘村・川内村の 9 市町村で測定しましたが、「復興五輪」なのだから聖火リレーコースは完璧に除染されているだろうという予想は大きく外れ、 汚染状況の深刻さが明らかになりました。
測定結果はちくりん舎関係者の手によって冊子にして頂き、各方面に配布することが出来ました。
また、3 月 3 日には外国特派員協会(FCCJ)にて、記者会見の形で測定結果を報告させて頂きました。

常磐線開通にともなう駅周辺「解除」の実態

2020 年 3 月 14 日、原発事故以来不通が続いていた常磐線が開通し、それに伴って夜ノ森駅・ 大野駅・双葉駅の 3 駅周辺が「先行解除」されました。
「ふくいち」では 3 月の第 70 回モニタリングでこの 3 駅周辺を測定しました。
狭い範囲でありまた街の中心なので、土壌採取は困難だろうということで、100m×100mのメッシュでの測定を計画、どの駅の周辺でも新しくアスファルト舗装されたり、砂利が敷かれ整備された場所以外は、1m高の空間線量率は予想通り、高い数値を示しました。
いずれの駅も無人駅のようです。

大熊町と双葉町では、帰還困難区域内に設定された「特定復興再生拠点」の一部が、同じく 3 月から「立ち入り規制緩和区域」として、24 時間年齢制限無しで立ち入りが可能になりました。
この両「緩和区域」の測定も 3 月から 4 月に掛けて完了しています。

私たち「ふくいち」は、現場主義で放射線量の測定と土壌採取・分析を実施し、わかりやすい形で可視化したものを公開し、記録保存する活動を今後も続ける所存です。
そして原発事故で被災した方々に、健康や人権を守るために使って頂けるとしたら、これに勝る喜びはありません。
当面は、すでに着手している南相馬の山側 8行政区通算 5 巡目の測定を進め、南部のみで終わっている飯舘村の残り部分の測定も視野に入れています。
個人宅の測定については、ご依頼があれば可能な限り応じさせて頂きます。ご相談下さい。

調査中のふくいちプロジェクトメンバー

猛威をふるう新型コロナウイルスのため、第 72 回モニタリング(5 月)は中止せざるを得ませんでしたが、状況が改善され次第、測定活動を再開したいと思っています。
私たち「ふくいち」の測定したデータは、個人宅の測定以外は全て可視化し Web サイトや Facebook で公開しており、どなたでも見ることが出来ます。是非ご覧ください。

■Web サイト URL http://f1-monitoring-project.jp/
■FacebookURL https://www.facebook.com/fukuichi.mp/

【大野駅周辺空間線量率可視化】

 

原発事故から10年目、忘れられない避難の恐怖

10 年前の 3 月 11 日~12 日、福島第一原子力発電所では 3 つの原子炉が自動で止まった。
津波で原子炉を冷やす機械が動かなくなって、原子炉が壊れて中の放射性物質が外に漏れ出るおそれがでてきた。
国や県では近くに住む人たちに “避難指示”や“屋内退避指示”を出したと言うが、その前に地震により原子炉そのものが壊れたのではないかという説もある。

国が出した避難指示の内容を改めて追ってみよう。

2011 年3月11日19時03 分 福島第一 原子力緊急事態宣言発令
20 時 50 分 県が半径 2 km圏内に避難指示
21 時 23 分 国が半径 3 km圏内に避難指示

国が半径 10 km圏内に屋内退避指示
2011 年 3 月 12 日 5 時 44 分 国が半径 10km 圏 内に避難指示
7 時 45 分 福島第二 原子力緊急事態宣言発令 国が半径 3km 圏内に避難指示
国が半径 10km 圏内に屋内退避指示
17時39 分 福島第二 国が半径10km圏内に避難 指示
18時25 分 福島第一 国が半径20km圏内に避難 指示
2011 年 3 月 15 日 11 時 00 分 福島第一 国が 20 ~30km 圏内に屋内退避指示

福島第 1 から大量の放射能がまき散らかされてから、半径2km圏内に避難指示を出しただけで、半径10km圏内は翌日の早朝5時 44 分まで「屋内退避」を指示しただけだった。
そしてその日の夕方18 時 25 分にようやく半径 20 km圏内 に避難指示が出た。
寒く雪が降り続けていた。

大混乱の中、近隣市町村住民は全てを投げ捨て行き先も解らず出来るだけ遠くへ逃げようとした。
交通機関もなにもなく、自家用車と自治体はバスを用意したが何処へ行くのか分からない。
ガソリンはない。それに道路は避難する車 で大混雑し動かない。
大多数の方は、せいぜい 数週間で帰れるだろうと思いこんでいた。

それから 10 年、どんな思いで生活してきたか、 国、東電は分かっていないでしょう。
分っていたら原発再稼働など考えられないはずです。

放射能公害による被害者の実態は、これまで多くの報告がありましたが、事故から 10 年目となっても、事故以前に戻ったわけではない。
今でも家族が元に戻らない。
地域コミニテイは崩壊したままである。

地域の長老は口を揃えて「もう元には戻らないでしょう」と言う。
当初は2~3年で何とか なるだろうと思ったが、原発事故とはそんな甘いもんじゃない、100 年後の展望など持って生きられるわけがない。

故郷では三世帯、四世帯が同居してきたのは当たり前で、共に寄り添い助け合いながら生活してきたのであるが、全てを壊され、目先の生活に必死で、尚なんの余裕もない。

東北の田舎町の集落は 100 年、200 年と先人達が苦労に苦労を重ね出来上がったものです。
だから農業への想い、漁業への想い、そして街づくりの展望を描きながら若者から若者へと引き繋がれ成り立ってきた。
そこを長老たちは心 配しているのだと思う。

新型コロナウイルスと放射能

コロナウイルスで、命と健康が第一なのか、経済なのか問われていますが、命があって経済が成り立つことを問いかけられたのではないでしょうか、人類が経済経済と地球を壊し続けた結果、災害などが起き、脅かされているのであろうと思われます。新型コロナウイルスはワクチンの開発に 世界中の研究者が取り組んでいますから、いずれ解決されます。
また集団免疫ができて、人間のからだがウイルスをうけつけないようになります。
だが、原発事故による放射能公害はそうはいかない。
薬も効かないし免疫もつきません。
何百年もかけて自然消滅を待つ他、手立てはありません。このまま原発を稼働し続ければ大事故が起きることは否定できません。
さらに廃炉がどんどん多くなってくれば、その処理費用は莫大で、放射性物質や汚染廃材も膨大に発生し、その後始末だけで生物の命どころか経済そのものも大きく脅かされることは必至です。
原発新設などとんでもないのはむろんのこと、一刻も早く廃炉にすべきです。

ご意見のお願い
是非ご投稿をいただき「声」として会報に載せたいと考えています。
匿名でもけっこうです。
◇電話 090(2364)3613
◇メール(國分)kokubunpisu@gmail.com

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