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相双の会 会報94号

相双の会 会報94号

原発事故被害者「相双の会」会報94号が届きましたので、転載します。

みんなで立上ろう
原発事故から9年が過ぎ10年目となった今日、少しは明るい日差しが見えるのか期待と不安がいつも交差しております。
私たちはこのままでは若い方々まで故郷を放棄せざるを得ない状況に追い込まれました。
「復興」を叫び、箱モノをつくり帰還を呼びかけていますが、戻れないのです。

東電は原発事故後に「損害賠償の迅速かつ適切な実施のための方策」3つの誓いを示しました。
「1.最後の一人まで賠償貫徹、2.迅 速かつきめ細やかな賠償の徹底、3.和 解仲介案の尊重(ADR から提示された和解 仲介案を尊重)」です。
しかし今、ADR の和解案すら東電は拒否する実態です。
私たちは放射能公害に時効はあり得ないと思いますが、2021 年3月の「時効」が確実に迫ってきているのです。

しかし、3月 12 日に仙台高裁判決が下され、明るい兆しが見えました。
賠償金について不満はありますが、しかし、東電の過ちを断罪したことは被害者というより国民の勝利であると思います。
原発のない社会へ一歩前進できたことであると思います。
また後に続くたくさんの裁判闘争も勝 利させねばなりません。 闘いはこれからです。引き続きご支援、 よろしくお願いします。
相双の会会長・國分富夫

 

高裁判決の評価
前進面-東電責任の明示と慰謝料算定基準の深化

判決は以下のような点で、原判決(いわき地裁判決)より大きく前進した。

1、東電は「津波による全電源喪失の予見可能性があった」のに、対策を先送りした。

さらに「市民団体からも繰り返し抜本的対策を求める申入れがされていたにもかかわらず」対策を講じなかった。
「このような被告の対応の不十分さは、誠に痛感の極みと言わざるを得ず、その意味で慰謝料の算定に当たっての重要な考慮事情とされるべきものである」とした。

いわき地裁判決は「予見可能性」を否定していた。

2、慰謝料算定。国の原賠審指針(月10万円)はあくまで「避難生活に伴う慰謝料」のうちの「避難生活の継続による慰謝料」にすぎないのであって、「ふる里喪失損害」はふくまない。
判決は従来「慰謝料」として一括されていたものと、範囲外とされてきたものを明確にして損害評価を精密化した。
つまり①避難を余儀なくされた慰謝料、②避難生活の継続による慰謝料、③ふる里喪失・変容慰謝料を区別し、個別に算定した。
①とあらたに項目化され③は深化された。

①は「深刻な放射能被害の危険性」に直面し困難な避難行動を余儀なくされたことへの慰謝料であって、それは東電からの既払い金には含まれていないとした。
③は「自然環境」と「社会環境」、人間関係、精神面をふくめた損害評価の考え方が大きく前進。
また帰還しても地域社会が大きく変容してしまったという被害。

ふる里喪失被害は千葉、神奈川など地裁段階では認めていたが。高裁では初めて認めた。

 

問題点—要求とかけ離れた損害算定

しかし、こうした損害評価の深化に合致しない低額の損害算定であるところが、本判決の最大の問題点だ。

三つの対象区域ごとに損害額は以下のように算定された。
(1)帰還困難区域 ①は 150 万円 ②は 850 万円 ③は 600 万円 合計 1600 万円 (内既払い 1450 万円)。
いわき地裁判決は避難長期化慰謝料として既払い金に 165 万円 追加を命じていたから、増額は0

(2)居住制限区域と避難指示解除準備区 域 ①は 150 万円、②は 850 万円、③は 100万円 合計 1100 万円(内既払い 850 万円)。
いわき地裁判決は165 万円追加を銘じていたから、増額は 110.万円。

(3)緊急時避難準備区域 ①は 70 万円、②は 180 万円、③は 50 万円 合計 300 万円 (内既払い 180 万円)、いわき地裁判決は 77 万円追加を命じていたから、増額は 55 万円。
以上、「原審」(いわき地裁判決)に比し、 金額は若干の増に過ぎず、とくに帰還困難区域は増額ナシ。
原告 146 人の総額としては、いわき地裁の原審判決総額約6億円に 対し 1 億 2 千万円程度の増額に過ぎない。

 

 

3.15原告団総会の確認と東電交渉

3.15 原告団総会の確認

3月 15 日に、原告団総会を開催した。
弁護団からは、この高裁判決の認容金額に不服があるとして最高裁に上告しても、最高裁がこれを増額する見込みは乏しく、また東電が上告しても受理される見込みに乏しいなどの説明を受け、別記のような「解決要求」を掲げて、東電に解決を迫ることを確認した。

仙台高裁判決は、東電の悪質性・加害性を厳しく指摘したほか、判決の結びでは東電に対し、「司法判断を可能な限り尊重し 」「迅速な被害救済を図っていくこと」が現賠法の趣旨だと説示している。
上告せずこの判決に従う事を東電に求め、東電との交渉に臨むこととした。

 

3.19 東電交渉―東電の上告・謝罪拒否は許せない

第1回東電交渉は3 月19日におこなわれた。

仙台高裁判決を真摯に受けとめ、上告を断念し、「原告団の解決要求」を協議するよう求めた。

東電は控訴か否か未決定。事故後 9 年間、一般的に使ってきた「御迷惑をおかけしました」というだけで、被害者への謝罪はない。「上告するか否か結論が出ていない、謝罪の上で被害弁償に応じるかどうかも即答できない」という態度に終始した。
何の前進もない無回答である。原告と弁護団は「単に金銭の問題ではない。
謝罪は大前提だ」と決意している。

そこで上告期限の前に次回の交渉を要求した。

第2回の交渉は3月25日におこなわれた。
東電は、最高裁に上告すると表明し、原告への謝罪も拒絶した。
その態度は社長の判断であり、また国の原発「支援機構の了解も得た」と明言した。
最高裁には東電の主張は通じない可能性大なのに上告するのは、原告がつかれるまで引き延ばし、今後続く判決への影響を考えての政治的な対応だ。
しかし「解決要求」の 3~5 項の交渉には応じることになった。
今後交渉を通じ謝罪と要求実現を求めていく。

 

2020 年 3 月 19 日 東京電力宛

福島原発避難者訴訟原告団・福島原発被害弁護団

解決要求書

東京電力は、仙台高裁判決を真摯に受けとめ、解決の引き延ばしに過ぎない上告を断念し、原告団・弁護団との話し合いのテー ブルにつき、以下の「原告団の解決要求」 について誠意をもって協議することを求めます。1 加害責任を認め、原告らに対し、真摯な謝罪をすること。
2 判決(司法判断)に従って、原告らに対し、速やかに損害賠償を支払うこと。
3 特に幼児・青少年・女性を含む全ての原告らに対し、終生にわたり健康管理と医 療支援に求められる責務を国とともに果たすこと。
4 放射能汚染された原告らのふるさとの生活環境を、少なくとも年間積算量1ミリ シーベルトまで復元するための調査・研究 を国とともに行い、実施するとともに、原告らが求めるふるさとの回復に尽力すること。
5 放射能汚染被害者である原告らに対する、社会的差別の克服に求められる努力を 国とともに尽くすこと。
6 上記の3ないし5については、国に対しそれらを実現するにふさわしい政策を確立するよう要請すること。

「あやまれ つぐなえ」 原発避難者と共に

2020 年3月 19 日

事故直後の惨状と不安と怒りにふれて
山形市 佐藤光弥
私は、山形市に住む住民です。
原発事故当時、 山形市落合スポーツセンターに約千人の人が避難してきました。
当時、山形も物資が無くて困惑していましたが、ほどなく解消されて普通の 生活に戻れました。
しかし、自宅の近くにあった落合避難所には帰る当てもない多くの人が、 雑魚寝の状態で毎日を送っていることに万感の思いをしていました。

今起こっている「コロナウイルス」騒動と当時の状況が重なりますが、コロナウイルスは時間がたてば解決するはずです。

知人である国分さんから、2011 年 11 月に賠償を東電と対峙するなら1人ひとりではなく、 住民の多くが塊になって向き合わなければならない。
その為に「会津おだか会」を作ったという話を聞きました。
その会報1号に「何年かかろうが復興は続けなければなりません。当然、除染もやることです。しかし、田畑、山をやり切れるか不安です。間もなく9カ月になる現在 でも家族がバラバラになっていることをもっと重視すべきと考えます」と書いてあります。
不安と怒りが輻輳している状態が手に取るように分かりました。

裁判傍聴をして来て
私は、福島の人たちにどのように向き合えばよいか。
裁判の傍聴には溢れるほど多くの人たちがこの裁判に大きな関心を持っていることを、 目に見える形で表さなければ勝てないという思いがありました。
当然、原告の他に支援者がどれだけ厚くなっているか。

そういう思いの中から、いわき裁判には第1回から毎回車1台(4名)で傍聴に来ました。
そのたびに、自然との生業や近隣との日常の付き合いや家族関係が分かってきました。
しかし、 原発事故によって失われた悲痛な実情と、将来の不安が日ごとに助長していく様がわかりました。
それを解消するために、裁判所がどこに目を向けた判決を出すかでした。

仙台高裁判決を、原告の方々がどう判断するかは分かりませんが、弁護人は完全勝利を謳っています。
しかし、私は賠償額はもっと高くても良かったのではないかと考えています。
これから最高裁に提訴かは不明ですが、これまでと同じように支援を続けていきたいと思っています。

 

避難者の思いに寄り添った判決
千葉 加瀬伸二
福島原発1号機の爆発から丁度9年という日に避難者訴訟の控訴審判決日が設定されていた こともあり、良い判断が下されるものと期待しつつ仙台高裁門前で「旗出し」を待つこと40分。
3人の弁護士が門前に現れ掲げた旗は、「ふるさと喪失損害を認定」「勝訴 原判決を克服」 「東電の悪質性を認定」の3本。
一瞬、お会いする度と言っていいほど「私は、自死した人の気持ちがよく分かる」と話されていた原告の國分美枝子さんの言葉が頭の中をよぎった。
この思いは全原告、いや避難者全員の思いであることは言うまでもないと思うが。

原告に寄り添い、被告を糾弾した、一切忖度のない判決だったと思う。
しかし、原告にとっては、これまでのご苦労と事故前の生活に戻せることのできない現実を考えれば、手放しで喜べないものがあるのではないかとも思う。
それでも、9年間に及ぶ原告の皆さんのご苦労が少しでも報われたのではないかと思うと、嬉しい気持ちになったのは偽らざる事実だ。
東電はこの結果を真摯に受け止め、上告することなく原告に謝罪し、速やかな賠償に応じる責任がある。
上告するなど断じて許されない。

今後続く他の裁判においても、今回の判断が大きな影響を与えることを願ってやまない。

避難者の皆さんへ 相談窓口開設されました
強制的に避難を余儀なくされた被害者の方に、東電に対する損害賠償請求についての相談
窓口を設置しました。多くの訴訟を広げて東電に要求しましょう。
窓口は 03-5935-8520 4
(午前 9 時~午後 6 時)

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