中間指針に基づくものではない
平成25年3月19日に千葉地方裁判所603号法廷にて第三回口頭弁論が開かれました。
今回は午前中の法廷ということもあり、傍聴者が少ないと想定されたが、傍聴席から溢れてしまうほどの人でした。
東電側は当初、なのはな生協は中間指針の流通業にあたるとし賠償をしましたが、賠償を拒否する理由として流通業ではなく、サービス業に当てはまるとも主張してきました。(中間指針によるとサービス業の場合、福島県に所在がしていれば該当するとされています。なのはな生協は千葉県に本部を置く為、賠償の対象外とされてきました。)
今回の口頭弁論で東電は、『中間指針は賠償が認められやすい物を書いており、特に主張立証が不十分でも賠償に応じても良い枠組みだ』と説明しました。
裁判所は東電側は、中間指針に即して対応していると言っているが、なのはな生協の場合は中間指針には当てはまらないとし、東電は中間指針に書かれていない物も賠償すると言っている以上中間指針に当たるかどうかを論じても意味がないかもしれないと話されました。
サービス業と考える理由がわからない
そのような中で行われた陳述の一部を報告します。
裁判長(以下 栽) 流通業か小売業化についても、第1回目で話した点ではあるが、被告(東電以下 東)はどのように考えているのか。
東) 基本的にはサービス業と考えているので、サービス業の中間指針の枠でとらえている。流通業で考えるとしても、中間指針の枠組みで捉えると、賠償は難しい。
裁) 結論は分かるが、本件のようなケースではサービス業にあたると考える理由がわからない。
東) エンドユーザーに販売するという業態を重視すれば、サービス業であるという認識である。
裁) では、小売業は福島県に所在がある場合は賠償の対象になるとはどういう趣旨なのか
東) 福島県内の小売業では風評被害の現象があったが、中間指針が作られた段階(平成23年8月5日)では、福島以外に風評被害はなかった。福島県内の小売業には、統計的にも調査した結果、風評被害が見られた。
裁) 福島に来る人も減っている(特に外国人)状況で、福島で売るものについては、九州産でも売れないということから、特別な枠組みを設けたわけではないのか。福島の物を取り寄せて他県で売っているのであれば、枠組みが全然違うのではないのか。なのはな生協はサービス業には当たらないから他の枠組みになるのか。
東) サービス業だが、事業者が福島の外にある場合はあたらない。流通業の場合は、すでに仕入れた産品を廃棄した場合なので、それにあてはまらないのであれば、間接損害になる。
裁) それでもサービス業の枠は維持するのか。
東) 第一次的な主張としては維持する。ただ、仮に流通業なら、という主張はする。
裁) 維持するとなれば、中間指針の枠組みは不合理だということにならないか。
東) 中間指針は賠償が認められやすいものを書いてある。中間指針に書いてあるものは、特に主張立証が不十分でも、賠償に応じてもよい枠組みという理解。
裁) 中間指針にあたるかどうかを論じても意味がないかもしれないが、原告の方で特に述べたいことがあればするように。
以上のような裁判長と東電とのやり取りがありました。
最後に裁判長から「中間指針にあたるかどうかを論じても意味がないかもしれない」と話されたことから、中間指針の枠組みに沿って裁判を進めるわけではなく、裁判では中間指針の枠組みは関係ないとの意味だと受け取りました。
事故を起こした責任追及の為、口頭弁論に参加
参加された福島東和有機農業研究会の本多さんからは、口頭弁論に参加することは、事故を起こした東電に対して責任追及するうえでも、大変意味のあるものだと発言がありました。 福島東和有機農業研究会の本多さん