なのはな生協

アーサー・ビナード氏講演会「知らなかった、ぼくらの憲法」

令和元年9月26日 市川市男女共同参画センターにて、アーサービナード氏をお招きし、講演会「知らなかった、ぼくらの憲法」を開催致しました。


参加者110名超えの盛大な講演会となり、大きな拍手に迎えられ壇上に上がられたアーサービナード氏、アフリカ ケニアから戻ってこられたばかりだったそうです。


野生のシマウマやキリンが、そこら辺を普通に歩いてる姿に驚かれたそうですが、しかし、数日経つと慣れてしまい驚きもしなくなったと、ユーモアとジェスチャーたっぷりで、とても聞きやすいお話しぶりで講演が始まりました。

「皆さん、来週、大変なことが起こりますね!そうです!消費税が10%に上がります!なんでみんな何も声上げないの?」
最初は、増税!?って反応してた人達も、今や無抵抗な様子に驚いていると話されました。
(ケニアの野生シマウマやキリンに対する反応と一緒ってことですよね。)

「みんな声を上げないとダメだよ!消費税増税で小規模店は潰れてしまうんだよ!」

ラジオパーソナリティーとしても活躍されているビナード氏、ラジオ番組で増税ストップと叫んでいるけど誰もついてこない!憲法改正だって、改憲有りきで考えるんじゃなく止めるんだ!改憲、改憲って、それが、さも当たり前のように擦り込まれてると仰いました。

そして、改憲 とホワイトボードに書かれたビナード氏
ところで、皆さん、なぜ「改憲」なの?
原子爆弾は、「原爆」って言うでしょう。
日本語四字熟語は、前から略す決まりなのに、なぜ憲法改正は、憲改 じゃなく、改憲 って、改が先にくるの?
同じようなのが、もう一つ、改元。元号改正なんだから、元改じゃないの?なぜ改元?

「改」っていう文字が先にくると、すごく強く、誰にもどうにも止められない、TPPと同じように、国の力で「強行突破」と思いますと話され、確かに仰る通りだと、納得させられました。

続いて、現政権の「改憲ビラ」の主要国各国の改憲回数グラフの話がありました。

アメリカ 6、フランス27、ドイツ62、イタリア15、インド103、中国10、韓国9、日本0

このグラフは、主要国がこんなに改憲してるのだから日本も改憲しますと、言っているようなものですが、ビナード氏母国のアメリカでは実際は憲法改正はゼロとのことです。
6回と書かれてるのは、Amendment(アメンドメント)という修正条項であって、微調整が必要な時に行われていますと、ご説明くださいました。

日本の現政権が言っている改憲とは微調整ではありません、今の憲法を外して、真っさらにしようとしているんです…と強調して話されました。

そして、そもそも、日本の改憲回数は、本当にゼロですか?と。「実際は、ゼロではなく、1 です!」と仰いました。

日本国憲法の前文より前にそれが書いてありますとの、説明をしてくださいました。
「朕は、日本国民の総意に基いて………、帝国憲法の【改正】を裁可し、ここにこれを公布せしめる」と、しっかり【改正】と書かれてあります。
それなのに、根拠無く、こんなグラフだって、改憲ビラに載せて、まかり通ってしまっているんです!と仰ってました。

最後に、第21条表現の自由が憲法にあるからこそ、こうやって話すことが出来ると仰り、第21条①②の改憲草案では②が変わりますとご説明くださいました。
②「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びに、それを目的として結社をすることは認められない」
①では自由を保障すると言っていながら、②では、いえ違いますよって、要は、そういうことだとのご説明に、国民に疑問を感じさせない憲法改正草案の書き方の怖さを改めて感じました。

講演後には、ビナード氏が7年がかりで完成させた紙芝居をご紹介くださいました。


丸木美術館の原爆の図から、絵を選んで切り取り、ビナード氏がオリジナルの脚本を作った 「ちっちゃい こえ」
原爆の被害を怖すぎないように、放射能が遺伝子レベルで命を壊すということをわかりやすく伝える紙芝居で、胸が締め付けられるようなお話でした。

講演会最後の質疑応答で、他国は日本の現状をどう見ているかとの問いがあり、ビナード氏の回答は、こうでした。

「日本は島国であり、食料自給率も低く、海岸沿いには、たくさんの原子力発電所があります。
国防政策と言ったりしてますが、国防どころではないです。原発の放射能漏れで、自国での、自爆、自滅、餓死です」

いろんなことを考えさせられる貴重な講演会でした。
改憲改憲って擦り込まれて慣れてしまい、何の疑問も感じず無抵抗になってしまってるのですよね。
改憲有りきで考えず、現政権がやろうとしている改憲草案をよく噛み砕いて理解し、改憲を止める方向に、私達は意識を持って声を上げていくことが大事なんだと考える機会となってくれたことを願います。