福島原発千葉訴訟第二陣第13回口頭弁論期日のお知らせです。
※福島原発損害賠償請求千葉訴訟…なのはな生協ではこの裁判に注目し、福島原発事故を風化させないため、福島の現状を知り支援するために傍聴を続けています。
福島原発千葉訴訟第二陣(控訴審)は,福島第一原発事故によって千葉県に避難された6世帯17名の方々が,国と東京電力に対して損害賠償責任を求めている裁判です。
平成31年3月14日, 千葉地方裁判所民事第5部は,国の責任を否定する判決を言い渡しました。
その理由ですが, 津波により全交流電源喪失をもたらす浸水が生じることの予見可能性を認めつつも,
①その予測の確度は必ずしも 高いとはいえないこと,
②地震対策の優先度が高く,平成19年7月に新潟中越沖地震が発生し,耐震性の問題が クローズアップされたこと,
③規制権限の行使には専門技術的判断が認められることから,津波対策より地震対策を優先させた判断が不合理ではない,というものでした。
また、令和4年6月17日、最高裁判所第二小法廷(菅野博之裁判長)は、福島第一原発事故の被害者gじゃ提起した生業訴訟・群馬訴訟・千葉訴訟・愛媛訴訟の4訴訟において、国が規制権限を行使しなかったことについて、国の責任を認めないとの判決を言い渡しました。裁判官全員一致の判決ではなく、3対1と意見が分かれた判決でした。
しかしながら、多数意見は、原子力安全規制法令の趣旨・目的について判断せず、「長期評価」の信頼性の評価も回避し、原発についての安全規制のありかた、事故に至る東京電力と保安院の対応についても判断していません。多数意見の実質的な判断部分は約4頁しかなく、文量として薄いですが、内容としても、建屋などの水密化を否定し、防潮堤の設置範囲も津波シュミレーションによって想定津波が遡上する部位(敷地高さを超えると試算されたもの)に限定されるとするもので、重大事故が想定される場合の防護として、多重防護という発想が求められ、推計の誤差を考慮して安全上の余裕を確保するという発想が求められることからも、不当なものとなっています。
上記最高裁判決には、三浦守裁判官の反対意見が付されています。三浦反対意見は、原子力安全規制法令の趣旨・目的を明らかにし、「長期評価」の信頼性を認め、東側にも防潮堤が設置されるべきこと、防潮堤の設置に合わせて建屋の水蜜化の対策が求められ、これにより事故を避けられたとしています。三浦反対意見は、下級審で判断されたすべての論点について、原告からの提起を正面から受けとめたもので、「第二判決」と評されるものです。実際の地震・津波の規模を強調して因果関係を否定する多数意見に対しも、「「想定外」という言葉によって、全ての想定がなかったことになるものではない。本件長期評価を前提とする事態に即応し、保安院及び東京電力が法令に従って真摯な検討を行っていれば、適切な対応をとることができ、それによって本件事故を回避できた可能性が高い。本件地震や本件津波の規模等にとらわれて、問題を見失ってはならない」と厳しく批判しています。
本訴訟においても、三浦反対意見が示した判断が、多数意見となることを目指す必要があります。
千葉地裁民事第5部は,避難継続の合理性について,ア:緊急時避難準備区域旧居住者に関し,平成24年8月末を超えて避難を継続した場合でも個別事情に応じて避難継続の合理性を肯定すると判示し、一審原告の個別事情を踏まえて平成25年3月末日まで避難の合理性を認め,イ:自主的避難等対象区域旧居住者に関し,一定の場合 は避難の合理性が認められると判示し,各一審原告の個別事情を考慮して,平成24年12月末日(又は平成23年4月6日)まで避難の合理性を認めました。
千葉地裁民事第5部は,これまでの賠償基準の不十分さを認め,これを超えた損害賠償を命じました。
しかし,認定した避難の継続の期間・損害額いずれも,原発被害者の被害実態に即した十分なものとは言い難いものです。
現在,福島原発千葉訴訟第二陣の審理は,千葉地裁から,東京高等裁判所第16民事部へ移りました。
控訴審第1回口頭弁論期日において,一審原告ご本人の意見陳述等を行い,東京高裁の裁判官に対し,一審原告ご本人の声を直接届けました。
控訴審第2回・第3回口頭弁論期日において,国の責任に関するプレゼンテーションを, 第4回 口頭弁論期日において,低線量被ばくの健康リスク・リスク認知論・中間指針等の損害に関するプレゼンテーショ ンを,法廷で実施しました。
第5回口頭弁論期日以降,提出した準備書面の要旨を,法廷で説明しております。控訴審第10回・第11回口頭弁論期日において、一審原告ご本人の尋問手続きが実施されました。
そして、遂に、今回第13回口頭弁論期日において、東京高裁による審理が終了する予定です。
控訴審では,原発被害者の方々が受けた現実の被害の大きさについて,東京高等裁判所の裁判官にも十分理解していただけるよう,さらなる主張,立証を行い、慰謝料の増額とともに,必ず国の責任を認めさせ,被害の完全回復に向けて実態に即した全面的な賠償を実現させたいと考えます。