なのはな生協 子育て委員会

 

2月2日、子育て委員会で、麻の実助産所の土屋麻由美先生をお呼びして「赤ちゃんから始める性教育」開催しました。
雪の降る悪天候の中、多くの方々に参加いただきありがとうございました。


先生は、「性の話は、子どもに一番身近な、信頼関係のあるママなどが、しっかり知識を持って伝えることが大事です」と話されました。

本来、性教育は、学校教育などで先生が正しい知識を教えるべきことです。
しかし日本では、そのような授業をすると親からクレームが出るような風潮があります。
みんな、自分たちの体のこと、性のことを良く知らずに大人になってしまうのです。

現代は情報があふれていて、見たくない・見せたくない情報も目に飛び込んでくる時代です。
幼児が端末を自分でいじって幼児向け動画を見ているときに、うっかりバナー広告を触って、いつのまにか無修正の動画を見てしまうこともあります。

過去の事例では、小学校の修学旅行などにタブレットを持って来て、小学生が大勢で動画を見ていることもありました。
その時、学校は正しい知識を教えたり、じっくり語りあったりするべきなのに、ただ注意するのみでした。

たとえば、理科の授業などでは交尾を教えますが、人間の行為については触れることはありません。
好きな人との大切なコミュニケーション手段の一つであり、命を作り出す尊い行為であることを教えるべきなのに、大事なことが隠され、情報があふれているために、子どもたちは、“汚いこと、怖いこと”であると間違って認識してしまうことがあります。
その結果、子どもが「そのような行為の結果で自分ができたの?」と思うと、自尊心が低くなってしまうこともあります。

そうなる前に、一番身近なママは、「子どもが興味を持った時に、何歳からでも」繰り返し丁寧に伝えてあげることが大事です。

「大切なかけがえのない命として生まれて来てくれたんだよ」
「出来るだけママを傷めないよう、赤ちゃんも頑張って出て来てくれるんだよ」
「産むか産まないか、自分で考えて選ぶことだよ」
「いくら相手のことが好きでも、嫌なことは、相手が望んだって断って良いんだよ」
のようにです。

また、子どもから尋ねられた時に、親がただ一方的に話すのではなく、「何が知りたいの?」「どこが解らないの?」のように、子どもの考えや気持ちを話してもらい、相手が必要としている事柄を伝えることも大切です。

小さいうちから繰り返し話すことで、ママも抵抗がなく話題に出せるようになるし、子どもは「ママにはこのことを話して良いんだ」と安心します。


土屋先生は、子どもを対象に授業をすることもあるということで、紙芝居も交えて、男女の体の違いや、話をする際の注意点などをわかりやすく教えて下さいました。

「中には、体と心が男女反対の人もいます。自分と違うからといって相手を傷つけたり、人と違うからと自分を傷つけたりしないで、違いを認めることが重要です」

「自分の体のことはよく知らないといけません。
でも、大事なところ(=プライベートゾーン=水着で隠れる部分)は、自分を守るために人前では見せてはいけません」

「心にも内緒にしたい事はありますね。
だからママも子どもたちのデリケートな部分はズカズカ踏み込んではいけません。
子どもの世界を大事にしましょう。
子どもの部屋に入る時も、ノックをして『入っていい?』と確認してからにしましょう」

言葉で伝えるのが難しい場合に使うと良い、先生お勧めの絵本や紙芝居も教えて下さいました。

質問コーナーも大人気でした。

Q.その人が危険かどうかを、子どもにどのように注意すべきか?
A.身近でよく見かける人でも,具体的に名前や住所がわからない人は知らない人。そんな人にはついていかないことを教えておく。
ネットの繋がりも、相手が提示している情報が正しいとは限らないので要注意。

Q.興味が出て、子ども同士で体を見せ合ったり、さわりたがったりすることがある。どんな風に声をかければ良いか。
A.興味があることを受け止めつつ、「自分の体の大事なところだから、隠しておこうね」と言う。
弟妹のオムツ交換はさせても良いが、興味本位でさわるのは良くないことなので、「自分が触られたらどう?」と声をかけてみる。
お互いの同意の下、ふざけ合っている程度ならば問題はないが、同意なしに一方的に行っている場合は暴力になることを教える。

どんな時も、お互いの同意が必須であり、妊娠しないための知識、性感染症の知識も身につけておくことが大事です。

親自身の意見、経験(失敗例でも成功例でも)を話すことにより、子ども自身が考え、意見を出せるようになります。
性教育は人権教育にも繋がります。
正しい知識があれば、自分が性被害に遭いそうな状態になった時に気づけますし、相手のことを考えるので加害者になることもありません。

「間違った知識で子どもたちが傷つく前に、ママたちが、尊い性を伝えていきたいですね」と締めくくられました。