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相双の会 会報75号

相双の会 会報75号

原発事故被害者「相双の会」会報75号が届きましたので、転載します。

浪江町あげての ADR 集団申し立て

昨年春に一部が避難解除されたものの、住民票上は1万8千人ほどの町民のうち、実際に浪江町に居住するのは 800人足らず。
大多数が町外、県外に苦しい避難生活を強いられている。

そういうなかで、馬場町長を先頭に浪江町はあげて原子力損害賠償紛争解決センター(以下 ADR)に 2013年5月に 集団申し立てをおこなった。
それは加害者たる国が一方的に慰謝料を月額 10万円と定めたことに対し、町民の被災状況に照らし妥当性を欠いているとし、その増額を求めたのである。
裁判闘争に取りくんでいる町民もいるが、そこまでは時間や労力、費用の関係で困難と言う町民を、町が代理人となって ADRに申し立てようというとりくみである。
申し立てに は約15700人、全町民の7割以上が参加した。

こうして ADR は 2014年3月に、「全申立人に月額5万円(期間2年間)、75歳 以上の全高齢者に対し避難により正常な日常生活の維持・継続が著しく阻害されたための慰謝料として月額3万円(期間3年間)の支払い」を内容とする和解案を提示した。

 

東電は4年間も和解案拒否、何のためのADR?

ところが東京電力はこの和解案を拒否。
度重なる和解受諾勧告にもかかわらず以降4年間も拒否し続けてきた。
この間高齢の申立人が846人も亡くなられた。

そして本来被害者の立場を尊重すべき ADRが今年の4月6日に和解仲介を打ち切ったのである。
以下の馬場町長のコメントは、その東電と ADR への憤懣やるかたない心境が示されている。

このときすでに馬場町長の体調は悪化しており、6月13日に町長の辞職を申し出、それから間もなくの6月27日に逝去された。
なお現在浪江町は、今後の取り組みについて以下の三つの選択肢で町民の意向調査を実施し、支援弁護団と協議している。

① 浪江町支援弁護団が考得ている東電を相手にした訴訟。
町民が原告となって訴訟を検討したい場合は、町が弁護団とつなぎ資料等を提供する。

②個人として ADR に申し立てたい方への資料提供と説明

③東電への未請求の損害賠償の解消への町の支援


浪江町 ADR 集団申立ての打ち切りについての故馬場有・浪江町長コメント

今回の原子力損害賠償紛争解決センターの和解仲介手続き打ち切りについては、誠に遺憾である。
私たちの意思が入る余地がなく、町外へ長期広域避難を強いられ、現在も過酷な生活を余儀なくされている状況を、ADR センター、東京電力ホールディング株式会社は何と考えているのか。
避難者に寄り添うどころか、突き放しているとしか思えない、残念な結果である。

東京電力は、私たちの訴え、陳述に耳をふさぎ、陳述書をまともに精査もせず、ADR センターの和解案を退けてきた。
「この和解案を認めると、浪江町だけでなく広域的に影響を及ぼす」、「申立人の集団賠償については、 個別事情を考慮して判断したい」とする受諾拒否の理由は、到底、私たちには納得できない。
そもそも、東京電力は、「損害があるかぎり賠償する方針」 を示し、「最後の1人まで賠償貫徹」「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」、 そして今なお、「和解仲介案の尊重」の「三つの誓い」を公表している。
「尊重する」と誓いながら、和解案の受諾を、1名を除き4年以上に亘り拒否し続けた不誠実なその姿勢は、言語道断であり、許されるものではない。
拠って、東京電力には、原発事故の原因者、加害者としての意識がひとかけらもないと断じたい。

ADR センターには、これまで長い期間に亘って、和解仲介役を務めていただいたことに感謝申し上げる。

しかし、ADR センターの役割は何か。

この原子力損害賠償において、お互いに不利にならないよう審議する客観的立場に立脚し、本裁判審理のように長期間に及ばないよう、スピーディーに解決する機関ではなかったのか。
今回の件で、その設置目的は根底から覆されることになり、全く理解のできない組織となった。

東京電力の原発事故によって、原因が生じたことを肝に銘ずるべきで、 ADR センターの存立が疑われる。

今後については、15000人以上の申立人及び浪江町支援弁護団、町議会 とこの問題の対応について、町のできることを協議、検討するとともに、 町民に寄り添った更なる施策についても検討して参りたい。

平成30年4月6日 浪江町長 馬場 有


避難先から通学する子も

この表で一目瞭然ですが、避難解除を急ぎ学校も再開しましたが、子どもたちは戻ってこないのが現実です。

再校した学校へ入学した少数の子どもの中でも、ほとんどの子は、スクールバス等で避難している地域から通学していると聞きます。
避難地域にはいくらでも学校があるにもかかわらず、再校した学校へ長時間かけて通学するのは何故でしょうか。
それぞれがいろんな思いがあり、いろいろな事情があり決断して 決めたのだろうと思います。

圧倒的に戻らない人が多いのは、子育て中の親は低線量被爆による将来にわたっての命と健康の危険を最重要視している現れであると思われます。

自然界にないセシウム 137 はウラン 235 を原発で核分裂させて生成されるものでありますから、造ることはできるが、放射能を消すという能力も持ち合わせていません。
つまり自然消滅を待つほかありません。100 年で 10 分の 1 に減 少、元に戻るには 300年と言われています。

また低線量被爆は大丈夫という科学的根拠がない事も事実だと思います。
本音は高齢者も若い人たちも帰りたくないはずがありません。
なのに帰らず、また子供も避難先の学校に通わせるか、避難したままで長時間かけて通学させるしかないのです。
全てに於いて帰れる条件が整っていないからです。

 

「情報通信技術活用の遠隔授業モデル」とは?!

復興庁は本年度、東京電力福島第一原発事故で避難指示が出た12市町村で、 情報通信技術を活用して「魅力的な教育モデルを構築する」としています。

少人数教育に対応するため「遠隔合同授業モデル」を 12市町村に展開するため支援体制を強化する。
そして、12市町村の取り組みを先進事例として全国に発信するというのです。
「遠隔授業」とはテレビ電話やインターネットを通じた授業で、文部科学省が過疎地など生徒数が少ない地域で高校の教員不足への対策として導入を容認しはじめ、これを義務教育にまでおよぼそうとしているものです。

「遠隔授業」は、教師との触れ合いも、 個性豊かな大勢のクラスメートとの触れ合いも保証できるものではありません。
ですから文部科学省内にも慎重意見が強いと聞きます。
そんな「教育」の実験台に被災地を使おうというのでしょうか。

人気のない浪江町繁華街

福島こそ子供に教員がよりそえるように

被害者である我々からすれば、なんでこのような状況になってしまったのかを明らかにして、人間味あふれる教育が重要なのではないでしょうか、特に避難者へのさまざまな差別に心の傷を負った子どもたちです。
教員が一人一人の子に寄りそえるように教員配置を増やしたりすべきでしょう。
国として責任ある対応が最も求められていることであります。
復興庁・国の考えは、明らかに帰還者は少ないし、子どもたちが戻ってくるという展望が無いと言っているのと同じです。
一方で「帰還」を強いつつ、他方で「遠隔授業」を導入するという矛盾した政策は、もう誤魔化しは効かないことを示しています。

 


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